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せんぱいインタビュー#2
二宮 敏さん
/NINO Inc. 代表取締役社長
二宮 敏さん
NINO Inc. 代表取締役社長
PROFILE
1982年 西予市宇和町生まれ
Episode

宇和高が輩出したデザイン業界のスーパースターの登場です。

クリエティブ・ディレクターとして、愛媛県ほか日本各地で活躍。商品パッケージのデザインに留まらず、アーティストを起用した道後温泉活性化プロジェクトや改修工事、

今治里山スタジアムなど大型施設の空間プロデュースなど、つねに注目を集める事業を展開しています。さらに海外の仕事も数多く手がけている二宮さん、フランスから帰国直後の10月上旬、お話をうかがうことができました。

在校時と変わっていない教室の雰囲気に驚く二宮さん。

コミュニケーション」をデザインする?

 

この日は、デザイン業界を志す生徒の進路相談のために来校。

二宮さんの穏やかで気さくな雰囲気に緊張していた生徒たちも、自分の思いや悩みを素直に語ることができました。

多種多様な業界、幅広い世代のクライアントに信頼を得ているのも納得です。

「いったいどこから、どこまでが二宮さんの仕事ですか?」という素朴な質問にも、丁寧に答えてくれました。

「デザイン」という仕事は想像以上に広いものでした。

 

「例えば、ミネラルウォーターのパッケージをデザインしてください、という依頼はとても少ない。

そもそも、どんな商品を出すべきか?そんな相談から受けています。

だからお客さんからの依頼は、NINOさん、何をやったらいいですか?という相談がほとんどです。

以前は、商品デザインの仕事が多かった。みなさんが手にとるコンビニの商品もいくつもあるし、チラシもありました。

でも、本当に必要ですか?お金の無駄じゃないですか?そんなことばかり問い続けていたら、今の仕事のカタチに行きつきました」

 

二宮さんは、市役所、病院、ホテルを起点にした「まちづくり」や、うどん屋さんの麺を開発すること、農家さんの働き方を一緒に考えることもデザインだと言います。

「僕たちが大事にしているのは、物事の本質をお客さんと一緒に考えること。

優秀なデザイナーの人たちと、いつでも仕事をしてもらえる関係を築いておく。

コミュニケーションをデザインすることが本来の仕事だと思っています。」

 

二宮さんにとって、クライアントとデザイナー、そして社会をつなぐ、ハブのような役割が「デザイン」の仕事なのです。

 

プロダクトデザイナーに憧れる生徒には、こんな励ましの言葉をかけてくれました。

「AIがデザインできる時代になる。

キャラクターをデザインすることより、なぜ、それをデザインするのか?アウトプットへの視点がすごく大事。

勉強している時に元気をもらえる文房具を作りたいとか、等身大の視点を忘れなければ、生き残れるよ、絶対!」

田植えや稲刈りなど家業の手伝いは、子供の頃から変わらず今も続けている。
日本の自然環境やローカルなコミュニティ文化の中で育ったことは、仕事の糧になっているそうです。

夢に向かって「ほふく前進」

 

宇和高ではサッカー部で活躍。

美術の成績はけして良くなかったという二宮さんがデザイナーを目指したきっかけは、部活動引退後、書店で手にした一冊の雑誌でした。

「当時、バッハという本屋があって、AXISというデザイン雑誌を見つけました。

 真っ黒な服を着た、すごくカッコいい建築が表紙を飾っていてもう絶対、この世界にいこうって!親にも相談せずに進路を決めました。

 先生たちは温かく応援してくれた思い出があります。

 でも、そんなに甘い世界じゃないから、志望大学には落ちて、専門学校に入ってから独学でやってきました。」 

*「AXIS Vol.80 1999年7・8月号」表紙 SANNA(妹島和世+西沢立衛)  

 

華やかなキャリアと才能の向こうには、不断の努力の積み重ねがありました。

「高校生のときから決めていることがあります。選択肢がいくつもある中で、どこからみても面倒くさいけど、絶対にやったほういいことってあるじゃないですか。

これは絶対にやったほうがいい。毎日の小さい判断の中で、つねに面倒くさいことを後回しにしないでやり遂げる。この積み重ねがすごい差になる。」

 

そして、宇和高に、こんなメッセージをいただきました。

「いろんな情報があふれているけど、確かなのは自分と、目の前の環境。目の前の家族、目の前の友人。遠い道のりのように思えるかもしれないけど、この環境の中で、目標に向かって、何ができるのか?ほふく前進していくことが大事だと思っています。やってみて壁にぶつかっていくほうが、最終的にははるかに自分の身になる。人生にまわり道はない。ベストを尽くすことが一番の近道です。」

宇和高盛り上げ隊長後記:
盛り上げ隊長うさぎ
「ほふく前進」という言葉に、二宮さんの実像を感じました。 大事なことを面倒くさいと思ってはならない・・・この永遠の真実、肝に銘じます。 (耳が痛いな〜) せんぱい、ありがとうございました!
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