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せんぱいインタビュー#1
和家哲也さん
/宇和高等学校 体育教員・陸上部監督
和家哲也さん
宇和高等学校 体育教員・陸上部監督
PROFILE
1971 年 宇和町卯之町生まれ
好物 ポテトサラダ・羊羹
趣味・特技 百人一首
持ち歌 「ギンギラギンにさりげなく ~ 和気哲也ヴァージョン~ 」
Episode

第一回、人選に迷いなし! 陸上部監督の和家哲也先生です。
昨年赴任されたばかりですが、陸上部の急成長を支える指導力は、西予市内外に轟いています。
U18 JOC ジュニアオリンピック 2023 年には一年生・松岡美来さんが1500m に出場して4位入賞するなど、中長距離競技の強化に力を注いでいます。もちろんスポーツ万能。物心ついたときには、体育教師になると決めていたそうです。

練習風景

陸上競技との出会い

 

「中学生のときには今と同じくらいの身長がありました。
何をやってもキャプテンをやらせてもらった。目立ちたがり屋でしたね(笑)」

 

お兄さんの影響で幼い頃から熱血阪神ファン。
宇和中学校では野球部に所属しながら、陸上部でも選手として活躍しました。
忘れ難い体験は、中学2年生のときに出場した市町村対抗駅伝― 社会人、高校生、中学生の混合メンバーによるレースでした。
大人と子供が一つのタスキをつなぐ競技に、緊張しながらも魅了されたそうです。3年生のときに、本格的にトラック競技にも参戦。
四国総体の800m で4位という成績をおさめたことが自信につながり、宇和高校へ進学後、陸上部一筋の生活が始まります。
「当時の陸上部は、とくに短距離が強かった。愛媛県の予選を勝ち上がるより、宇和高で上位3位に入るほうが難しかったほどハイレベル。」

 

そして、部活動以外の思い出といえば、やはり体育祭。
当時のプログラムは陸上競技も多く、試合以上に真剣に走り切ったそうです。
「鮮明に覚えています。本当に純粋に取り組みました。」
忘れ難いのは、組長として総合優勝を飾った3年生のときの体験でした。
衣装もパネルの足場も生徒たちがすべて作り上げる総力戦。
リーダーシップを発揮しながらも、どうやったら生徒をまとめられるか、能力を活かせるか、エンパワーメントに苦心しました。
「自分だけでは何もできない。いろんな人の力を借りないとできない。
持ち場、持ち場の力を引き出す大切さを痛感しました。」
そう、宇和高の体育祭は、生徒みんなが主役!
体育が得意な生徒だけが活躍するのではなく、応援合戦はじめ、誰もが一心不乱に取り組める競技がいっぱい。いろんな才能にスポットライトがあたるのです。

 

そして、和家先生は宇和高で教育実習を体験、陸上部の練習や大会にも同行しました。体育館で、こう宣言したそうです。
「私は必ず宇和高に戻ってきます」

しかし・・・

トレーニングの原点

 

教員として最初の3年間は聴覚障害の聾学校。
採用試験合格後は、脳性麻痺など身体が不自由な生徒が通う、病院併設の特別支援学校でした。心境は複雑でした。
「自分は体育の教員を目指してきた。
陸上部監督になりたいのに、一体、どういうことだ?」

 

しかし、現在の指導力に繋がる貴重な経験と技術をこの時期に培ったのです。
大学卒業後も7年間、現役の陸上選手として活動を続けるチャンスに恵まれ、個人のベスト記録を更新。
そして、宇和高生が行うトレーニングメニューの基礎は、当時、理学療法士について学んだリハビリ療法から生まれたものです。

 

「立てない子を立てるようにどうするか、歩けない子を歩けるようにするにはどうするか?」
陸上部員は、走り始める前に「補強」と呼ぶストレッチやウォーミングアップに、たっぷり1時間かけます。
「強化」ではなく「身体と心を整える」のが和家流トレーニング!

「試合当日、監督ができることは何もないんです。
緊張することは悪いことではない、やってはいけないことは、緊張のあまり、やらなければいけないことを忘れてしまうこと。
普段の練習の中で試合と同じトレーニングをしていく。
それが集中力につながり、本番でゾーンに入る状態を生み出せる。」

毎週水曜夜は宇和中生,社会人と合同練習
陸上部員の日誌:起床、睡眠時間、食事メニュー、練習メニューと反省点を記録させている。
毎日、和家先生がチェックして的確なアドバイス。

<EKIDEN のまち>プロジェクト

 

「グラウンドの様子をみてから練習に入ります。 グラウンドは身体と同じで、使えば使うほどよくなる。」 

練習前、ブラシをかけるのが和家先生の日課です。 土も柔らかく、小石一つ落ちていない美しい競技場 ― しかし、 去年の4月就任当初は、雑草や苔も生えて、荒れていたそうです。 グラウンドをならす土も長年、使われず積まれたまま。 和家先生が、去年の冬、一人で全面にまいて整備していきました。 

そして、環境づくりのために、もう一つ、力を注いだことが ― 

「トレーニング、食事、睡眠。一個でも欠けたら、身体はできない。 寮は必ず作りたいと決めていました。通いの生徒は、時間かかる、定期も高い。 乗り遅れたら、長時間待たなければならない。朝練に参加するなら、 保護者が運転して通わせる負担も生じてしまう。」

補助金を受けて寮づくりに動き始めると、協力を惜しまず応援してくれたのが 宇和高の同窓生でした。

空き家提供とリフォームを申し出てくれた工務店経営 者も同級生。陸上部 OB 会から寄付金も集まり、家電のみならず、毎月60キロ のお米、野菜類など食材も支援で事欠かず、食費に困ることはないそうです。

現在の寮は女子専用にして、もう一つ新しい寮づくりの計画が進んでいます。 「夢を一緒にかいましょう」と、空き家と資金提供の申し出があったそうです。 

 

そして強豪復活を目指す和家先生が、ひときわ情熱を注ぐ競技が「駅伝」。 「駅伝は、ほかの競技は違う。区間賞ゼロでも優勝がある競技。 どういうふうにタスキをつなぐか。自分のためには頑張れなくても、 誰かのためになら頑張れる、そういうチームづくりを目指しています。」 

個人のストロングポイントを活かしながら、ウィークポイントを 相互に補完しあえる ― 

和家先生は、「駅伝」の醍醐味に、まちづくりの可能性をみています。

そう、強さの共有ではなく、弱さの共有と連携こそ、 まちづくりには必要なのかもしれません。 

 

~ EKIDEN のまち SEIYO ~ 

この夢にかけて、一緒に走りませんか。

宇和高盛り上げ隊長後記:
盛り上げ隊長うさぎ
インタビューの最後に、宇和高生にどんな人間になって欲しいかメッセージをいただきました。
「3かく」― 和家先生の人生のモットーでもあるそうです。
 ① 「汗をかく」 失敗してもいいから、動いてやってみる。
 ② 「字をかく」 生涯 学び続ける。
 ③ 「恥をかく」 分からなければ人に聞け。体裁を気にするな。
時々、贅沢にも陸上部の練習を横目にしながら、ジョギングさせてもらっています。「汗をかく」「恥をかく」は、できていますね。
せんぱい、ありがとうございました!
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